農地・生産緑地の評価について
農地の評価
農地法等により、農地は宅地への代用を制限されており、都市計画などにより地価事情が異なることも考慮されています。農地の評価方法は、下記に該当される区分の方法を用います。
農地の種類:①純農地(農用地区域内にある農地)②中間農地(市街地周辺農地と純農地との中間に位置づけられた農地)③市街地農地(市街区域にある農地)④市街地周辺農地(中間農地と比べて市街地の近くに位置する農地)
農地の種類と評価方法
①純農地:倍率方式(固定資産税評価額×倍率)
②中間農地:倍率方式(固定資産税評価額×倍率)
※倍率方式とは「路線価」がついていない地域の土地の相続税を評価する方法のことをいいます。
③市街地農地:宅地比準方式または倍率方式
※農地が宅地であるとした場合の1㎡あたりの価額-1㎡の宅地造成費※×地積 = 宅地比準方式
④市街地周辺農地:市街地農地×80/100
※宅地造成費:その農地を宅地へと転用する場合に必要と認められる金額のこと。概ね同一地域毎に国税局長によって定められています。
貸し付けられている農地の評価
耕作権
「耕作権」とは農地の所有者に小作料を払うことによりその農地を耕作できる権利を指します。
①純農地・間農地の耕作権:農地の価額×耕作権割合(50%)
②市街地周辺農地・市街地農地の耕作権:農地の価額×耕作権割合※
※離作料の額、借地権の価額等を参酌して求めた価額により評価します。
【耕作権の目的となっている農地貸している側の評価】
- (相続税評価額)-(1.2.の算出による価額)
【永小作権の目的となっている農地】
- (農地の自用地としての価額)-(永小作権の価額)
【区分地上権の目的となっている農地】
- (農地の自用地としての価額)-(区分地上権の価)
生産緑地の評価
【課税時期において市町村に対し、買取りの申立をすることができない生産緑地の評価】
- (その土地が生産緑地でないものとして評価した価格)×(1-控除割合※)
【控除割合について】
課税時期から買取りの申出をすることが |
控除割合 |
5年以下のもの |
10% |
5年を超え10年以下のもの |
15% |
10年を超え15年以下のもの |
20% |
5年を超え20年以下のもの |
25% |
20年を超え25年以下のもの |
30% |
25年を超え30年以下のもの |
35% |
【買取りの申出が行われていた生産緑地・買取りの申立をすることが出来る生産緑地】
- 「その土地が生産緑地でないものとして評価した価格」×95%
山林の評価
相続税における土地の評価について、山林の評価はそれぞれを①純山林 ②中間山林 ③市街山林に分け、該当種類の山林の評価方法で評価をします。
山林の種類と評価方法
①純山林(市街地から離れており宅地に影響がない森林):固定資産評価額×倍率
②中間山林(市街地付近又は別荘地帯にある山林):固定資産評価額×倍率
③市街地山林(宅地のうちに介在する山林):宅地比準方式 又は 倍率方式
【宅地比準方式】
- (その山林が宅地である場合の価額)-宅地造成費※
※宅地造成費:その農地を宅地へと転用する場合に必要であると認められる金額。概ね同一地域毎に国税局長によって定められています。
【倍率方式】(市街化区域内にある山林であらかじめ倍率が定められている場合)
- 固定資産税評価額×倍率
広大な市街地山林
市街地山林が宅地である場合、その宅地が広大地と該当されるときは、その市街地山林の価格は「地積規模の大きな宅地の評価」に準じて評価をします。
保安林の評価
森林法より、土地の利用や立木の伐採についての制限のある土地に関しては、保安林として評価をします。
評価方法:山林の自用地としての評価額に、伐採制限に応じた一定額を控除して算出。
- 山林の自用地価格 ― 山林自用地価格 × 控除割合 = 保安林である山林の評価額
特定計画山林の相続税に関する課税価格の計算についての特例
特定計画山林の相続税に関する課税価格の計算についての特例を受けるとしたものについて、相続又は遺贈により特定計画山林の相続人等が取得した特定計画山林で、相続開始時から申告期限まで引き続きその選択特定計画山林のすべてを有している場合には、相続税の課税価額に算入すべき金額の5%を減額します。
※この特例を受ける為には、原則として相続税申告の期限までに分割されていること